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2010-03-22

帝王切開が最後の切り札になるわけではない

先日の当ブログ>それは必要なことなのでしょうか…
のコメント欄でいつもご意見くださる勤務助産師のふぃっしゅさんからの
『逆子で入院してからほぼ全開だったのにそこからそうとうな時間を要したようで、「お尻が触れるようになったのに」進まずに、そこから搬送されたというだけで、分娩にかかわっている人ならドキドキしますよね。
そこまで逆子で下がっているなら、頭がかなり下がっていて帝王切開でも出てこない可能性が高くて、促進剤を選択したのでしょうか。
こんな状態で搬送された病院のスタッフの気持が、よくわかります。
一番びっくりしたのは、前日にハイキングをしているところですね。
最近、産婦さんにハイキングを勧めている助産院があるようですが、リスクを高めるような流行をつくるのはやめてほしいです。』

に対して、具体的に教えて欲しいとお願いしたところ、ご回答くださいましたので、記事として紹介させて頂きます。
ふぃっしゅさん、有難うございます。

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ご質問のように、帝王切開にする判断の時期が遅れると、頭位の場合は児頭が、骨盤位の場合は児の臀部から体幹部が骨盤の中に深く入りすぎて、帝王切開でも娩出に時間がかかってしまうことがあります。
開腹したのに児の娩出に手間取っていると、児の状態もどんどん悪くなりますし、母体の出血量も増えて母子ともに危険です。まして逆子の場合には、さい帯も体幹部と一緒に下がっていますから、児の娩出に手間取っているとさい帯圧迫で児の状態はかなり悪くなる可能性があります。
帝王切開が最後の切り札になるわけではないのですね。

今回の経過をご本人の記録からたどってみると、3月15日の2:30に破水して産院についたときは10分間隔の陣痛があり、子宮口はほぼ全開で「昼ごろには生まれる」と言われたようですが、それから進まずに、翌日に搬送されて出産されているようです。
今回はたまたま、搬送されていた時に児心音も悪くなく、促進すれば娩出可能なぐらいの位置に下がっていたのではないかと思います。
ただし、それぐらい下がった状態で児心音が悪い場合でしたら、促進剤を使っても、帝王切開にしても、赤ちゃんは相当ひどい状態だったことでしょうまさに奇跡的だと思います。

骨盤位で子宮口が全開してからも1日近く様子を見たこと自体、通常の産科関係者には信じられないことだと思います。
全開して、児も下がってきていて心音も問題なければ、有効陣痛がなければここで促進すれば1~2時間で娩出されていると思います。
促進を試みても陣痛が弱かったり心音が下がれば、この時点で帝王切開の判断になると思います。
骨盤位で全開近い頃は、もっともさい帯圧迫などで児の状態が悪くなりやすかったり分娩停止になりやすい時期なので、通常はいつでも緊急帝王切開に備えています。そのような状態の時期に1日近く、何も「医療介入なし」で様子を見ることは、「放置」とも呼べるのではないかと思います。

最近は「骨盤位は経膣分娩は行うべきではない」という傾向ですが、いつでも緊急帝切ができる状態の施設であれば、産科医の判断で経膣分娩を試すことは可能だと思います。
けれども、帝王切開もしない、促進剤さえも使わない産院では、やめたほうが良いと思います。

今回は、本当にたまたま赤ちゃんも奇跡的に元気に生まれたのだと思います。
このような「個人的体験」から「骨盤位の自然分娩も大丈夫」「なにかあれば搬送されれば大丈夫」と信じるのは、大変危険なことです。
「奇跡的」に助かるのではなく、赤ちゃんができるだけ安全に生まれてくるようにとさまざまな研究が行われ、骨盤位分娩のリスクについての根拠に基づいて帝王切開も経膣試験分娩も選択されています。

3月11日のブログの中で「出産の途中に何かが起きて緊急搬送になり帝王切開になったとしても後悔はないと思っています」と書かれていますが、これはあくまでも「自然分娩を選んだのに」「帝王切開になってしまった」という文脈のうえでのことなのでしょう。
骨盤位の場合、経膣分娩、緊急帝王切開になった場合のそれぞれの新生児仮死、新生児酸血症、要蘇生術の割合など、危険性についてきちんとご本人への説明がされていないのではないかと思いました。


妊娠中の運動やどれくらい歩くか、についてはさまざまな意見もあると思います。
今回問題に感じたのは、逆子で子宮口も開き始めている時期にハイキングに行くことです。
骨盤位では破水直後にさい帯下垂や脱出が起きて、胎児への血流が悪くなり仮死を起こすことがとても怖いことです。
家の周囲の散歩ぐらいはかまわないと思いますが、ハイキングの途中で破水したら、対応が遅れて最悪のことも起こりうると思います。
分娩が近づいた妊婦さんにハイキングをなぜ勧めるのか、その根拠をこちらが知りたいところですね。

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読ませていただいていると、どんどんと色々な話が甦ってきます。
帝王切開を負い目に感じる方たちがいらっしゃり、酷い方だと、子供が無事に生まれているのに育児が出来ないほどだというのです。
周囲の心無い方の中には、『お腹を痛めて産んだわけではない』というようなことを冗談めかして言うのもいるらしく、そういう話も思い出しました。

医療に詳しくないと、多分、多くの方が『最後は帝王切開でどうにかなる』程度の認識なのではないでしょうか。
だから、帝王切開があるから無事に生まれるのは当たり前だし、帝王切開で必死のおもいで産まれて来た子供や産んでくれた母親に賛辞がない。
簡単に産んだという感覚。
正直、私も多分、琴子をお腹に宿している頃はそういう感覚だったのだとおもいます。
でもこれは、あくまでも“医療に詳しくない”立場の者だからという言い訳がつけられますが、問題はこの感覚を医療に詳しいはずの人たちが植え付けていないか? ということです。
“いざとなったら搬送します”という断りは何を指しているのか-陣痛促進剤というよりも、多分、いざとなったら病院に搬送され、帝王切開で産むということに傾いていないでしょうか。
勿論、陣痛促進剤も助産院や自宅出産では使用出来ないはずですから、必要であれば病院に行くはずなんですが、最近はレメディで陣痛促進剤の代替があるというので、効果は別問題として、“何かあったら搬送”は余計に帝王切開を意味していることになりませんかね。
でも、その帝王切開でも解決出来ないことがある、最後の切り札にはならない。
これはしっかりと知っておく必要があるとおもいますよ。
搬送の見極めがいかに大事なことなのか。
そもそも、搬送されているから皆元気…なんてことがありませんから。

今、当ブログでも何度か話に出てきていて、今回のふぃっしゅさんのご意見の基にもなっているお方のブログに寄せられているコメントの中に、他の方でもやはり逆子で経膣分娩、子供も無事だというのが寄せられていて、凄く残念です。
否、無事に生まれていることは良かったと言いたいのですが、逆子でも経膣分娩出来るんだという印象だけを強く残すような気がしています。
影響を受ける方は少数派であったとしても、危険に晒されるのは赤ちゃんですから、無責任な発言にはブレーキをかけたい気持ちになります。

妊婦のハイキング&過剰なまでの散歩運動については、私もふぃっしゅさんと同じで
分娩が近づいた妊婦さんにハイキングをなぜ勧めるのか、その根拠をこちらが知りたいところですね。
どなたか、根拠をご存知の方がいらっしゃったらお願いします。
私は『子供が早く下りてくる=安産になる』というのをよく聞きまして、家の周囲を散歩する程度の運動は毎日していましたが、今回、例のブログを読んで子宮口が開きだしてから山道をハイキングというのはびっくりしました。
まるっきり、“何かあったら”という説明を受けていないのだろうと感じるばかりです。

他にも書きたいことが頭の中にわんさかあるのですが、改めます。




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No title

わたくしが研修医だった平成年代はじめころは
逆子であっても自然分娩の方針のお方はいらっしゃいました。
赤ちゃんが大きすぎないとか、赤ちゃんの姿勢が単でん位であるとか
いくつか条件はありましたが。
逆子の自然分娩はそれほど珍しいものではなかったのです。

ただし、逆子のお産は時間がかかります。
頭がしたなら頭が見えてきたら「そろそろ生まれる」ですが
逆子のお尻が見えてきたら「さてこれから」です。
陣痛がきたらお尻を押さえて赤ちゃんが飛び出さないように
赤ちゃんの体を使って産道を広げるように、押しもどす。
初産婦さんならこれが一晩続くこともあります。
赤ちゃんの心拍はもちろんモニターしっぱなしで
心拍変化が少しでも怪しいときは帝王切開に切り替えです。
いよいよ抑えきれなくなって赤ちゃんの足を持って引っ張る瞬間はとても緊張しますが
うまくつるんと出てくれると、苦労しただけ喜びもひとしおでした。

こういう時間をかけた丁寧なお産は、
今の医療資源(はっきり言えば産婦人科医の数)の少ない時代には無理なのでしょう。
「逆子イコール帝王切開」と決まっている施設は、年々増えているようです。
逆子の自然分娩は、何かあったときの準備をきちんとしてのぞめば
決して危険なものではない、はずだったのですが
「準備」の段階で不足とあっては仕方ないと感じます。

臨月妊婦登山もあります

>分娩が近づいた妊婦さんにハイキングをなぜ勧めるのか、その根拠をこちらが知りたいところですね。

東京立川にある助産院ではハイキングどころか、臨月の妊婦を集めて高尾山登山を実施してます。以前、夕方のニュースにも取り上げられていました。登山させる根拠は次のとおりだそうです。

「まんまる助産院は、9月26日に東京八王子市に臨月の妊婦10名を集め高尾山登山に挑戦した。まんまる助産院・椎名まりこ氏は、先輩の助産婦に予定日を過ぎても生まれない人がいると相談し「高尾山に登らせれば生まれる」といわれた。臨月に山に登ると血行が良くなることで子宮頸管がやわらかくなり赤ちゃんの頭がうまく下がってきて産みやすくなる効果が期待できる。」

妊婦さんのスポーツ

琴子ちゃんのお母さん、こんにちは。

骨盤位の経膣分娩については、産科の先生方にもいろいろと考え方があると思います。ちなみにうちのクリニックでも3年ほど前までは経膣分娩を行っていましたが、現在は全員帝王切開です。
骨盤位分娩の怖さは、最後の最後に頭の部分がひっかかって娩出が遅れるところにあるように思います。小児科医のいないクリニックでは、赤ちゃんへのリスクが高いのです。
産科の先生方にしても、経過をみる助産師にしても、骨盤位分娩の経験の機会が少なくなることも問題であって、不安を感じる点でもありますが、ほそぼそながらでも経験を伝え、いつか産科医・小児科医の先生に余裕がでる時代がきたら経膣試験分娩を復活させてほしいものです。


妊婦さんのスポーツについて、手元にある文献をご紹介しますね。
『周産期医学』編集医学会編の「周産期相談318 お母さんへの回答マニュアル」(2009)の中には、
①妊婦スポーツの予想されるメリットとして、「安産傾向(分娩時間の短縮、小さめな新生児)」 (1998年)(p183) 
②妊婦スポーツは分娩経過・周産期予後に明らかな影響を及ぼさない (p205)
と、二つの見解が載っています。
①はあくまで「予想」ですから実証されているわけではありませんし、98年頃はまだ「安産のために体重制限を厳しくして、たくさん歩きましょう」という時代です。
②の根拠となる論文が掲載されていないのでエビデンスがどのレベルかわからないのですが、ここ数年の考え方のようです。

1994年に出された妊産婦の運動に対するアメリカ産婦人科学会のガイドラインでは、妊娠中の運動を以下のように分類しています。
妊婦に適した運動:有酸素運動、全身運動、母児にとって安全な運動、
種目としては、水泳、エアロビックダンス、ジョギング、サイクリング、ウォーキング、ヨガ

妊婦に適さない運動:無酸素運動、瞬発性運動、アンバランスな運動、競技的性格の運動
種目としては、バレーボール、バスケットボール、山登り、スクーバダイビング

実施する場合には、医療施設が併設されているか厳密なメディカルチェックの体制が確立していること。
運動開始前後に血圧、心拍数、子宮収縮、胎児心拍測定などのメディカルチェックが実施できること。

運動時間は1回につき60分以内

「日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会」から出されている「妊婦スポーツ安全管理基準」も上記のガイドラインと同様の内容で、妊婦スポーツの目的は「母体の健康の維持・増進など」であり、「母児に何らかの異常が生じては本末転倒である」としています。


「登山」はまず妊産婦さんに適さないスポーツという見解です。
特に逆子の妊産婦さんは、「スポーツの絶対禁忌」に含まれています。

立川さんが情報を下さった中で、「山に登ると血行が良くなることで子宮頚管がやわらかくなり赤ちゃんの頭がうまく下がってきて産みやすくなる効果が期待できる」という考えは、あくまでも検証されていないもので、その助産師個人の考えにすぎないことといえます。
   

suzanさんへ

こんにちは。

ご意見を読んでいて思い返されるのが、琴子を出産する前に、助産師が
『逆子の方が簡単だ』
という説明の中で、当時はまだ足位とは分からないときだったのですが、足からでも簡単だという話があったことです。
指などを足に見立てて説明をしていましたが、足が出てきたら引っ張り出すだけだというような説明でした。
でも実際は、足、身体が出て、琴子の顎が引っ掛かったようで、琴子の全身の写真を産科医の方にお見せしたところ、琴子の足の形からして、助産師が相当焦って引っ張ったのが分かると言われました。
片足が伸びている感じがあるんです(素人の私でも足の様子がおかしいことは気が付いていました)。
この話を日本助産師会に出向いた際にしたところ、同席してた一人の助産師(助産師の教育をしたりしている立場の方)も
「そうなんですよ、逆子の方が簡単なんですよ」
って仰ったんです。
でもそれを急いで打ち消すかのように、当時の事務局長(助産師)が
「否、助産院で扱ってはいけないんです」
と何度か仰っていました。
自然分娩が可か不可かはマンパワーの問題もあるとおもいますが、何故か私が面と向かって話した助産師の方の中には
『逆子の方が簡単だ』
という認識の方が上記の通りに居て、その根拠がどこにあるのかが疑問です。
suzanさんのご意見を読む限り、『逆子の方が簡単だ』とはおもえないのですが…

市の母親学級で

逆子の経膣分娩についてですが、市の母親学級で
「尻とか足とかを引っ張ればいいように見えるけど、頭が引っかかるから、尻が出たとか足が出たとかで引っ張っちゃいけないんだ。そこが逆子の難しいところなんだわ」
と、おじいちゃん先生が言っていました。もっとも、このおじいちゃん先生は
「帝王切開、昔は水杯きってやってたんだぞ!」
とも、仰っていたくらいなので、相当なお歳だったりするのですが・・・。

立川さんへ

こんにちは。

情報をくださり、有難うございます。

> 「まんまる助産院は、9月26日に東京八王子市に臨月の妊婦10名を集め高尾山登山に挑戦した。まんまる助産院・椎名まりこ氏は、先輩の助産婦に予定日を過ぎても生まれない人がいると相談し「高尾山に登らせれば生まれる」といわれた。臨月に山に登ると血行が良くなることで子宮頸管がやわらかくなり赤ちゃんの頭がうまく下がってきて産みやすくなる効果が期待できる。」
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陣痛が始まったら足踏みをするいいとか、色々と聞きましたが、足が滑ることもあるだろうし、高尾山に登山というのは怖いです。

No title

「逆子のほうが簡単」と言う助産師は、複数いるんですね…
いや、どう考えても、どっちが簡単とかいう問題ではないと思います。
何をさして簡単というのだろう。
できたら詳しく聞いてみたいような気持です。

それから私、前の記述で「足を引っ張る」と書いてしまいましたが
足のつけね、というか、太ももからおしりにかけてをつかむ、と書くべきでした。
下からの逆子お産は、「おしり」が見えているのが「正しい」状態です。
それ以外のものが見えたら帝王切開に切り替えます。
プロフィール

Author:琴子の母
助産院や自宅出産についての情報があまりにも偏っています。
助産師会の方から『産む側も勉強を』と言われました。
偏ったままの情報での勉強は、あらたな誤解を生み、悲しいお産を増やす可能性が高いとおもっています。
助産院や自宅出産が抱える問題、リスクを知って貰い、その上で分娩方法や場所の選択をしていくことを願っています。

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