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2005-09-26

幸せを失った夫の涙

当たり前だよね、娘が死んじゃったんだもん。
あんなに楽しみにしていたのにね、やっとお腹から外に出てきたのにね、琴子は死んじゃったんだもんね…あんなに楽しみにしていたのにね。
こんなこと、想像していなかったよね。
泣くのは当たり前だよね…

出産後、誰もが思い遣ってくれるのが産んだ私の身体のこと。
私は栃木に住んでいるけど、実家は他県にあるので、出産後は琴子と一緒に里帰りをする予定にしていた。
実母が何度も
「あんただけでも一緒に帰る?」
と聞くのだけど、私は琴子の遺骨と離れる気にはなれないし、
「琴子ちゃんのお骨を持って、実家で静養してきたら?」
と言ってくれる人もいたけど、それじゃぁ夫があまりにも悲し過ぎる。
私は家を離れたくなかった。
夫と琴子と私が家族であって、ここから外に出ることは考えられなかった。

しばらく私達の家に実母がいてくれたのだけど、最初は私を実家に連れて行くと言っていたのに、徐々にその言葉が変わってきた。
「N君(夫)を放って置くことが出来ないね」
当たり前なのにね。
世間て怖いよね、どこかでお産のリスクやトラブル、結果は母親だけが抱えるものっておもっているんだよね。
だから父親の気持ちを考えてくれる人なんて、殆どいなかったんじゃないかな。
皆、夫に私を支えるように言う。
じゃぁ、誰が夫を支えるの?
誰に頼まれなくても、私達は支えあうよ。
だって、それしか方法がないじゃない。

夫は琴子の誕生をずっと楽しみにしていた。
妊娠前から、子供が欲しいと言っていたし、少し妊娠し難い体質だった私のために、身体に良いことを聞くと、一緒に取り組んでくれていた。
妊娠してからもとてもよくしてくれた。
自営業で家にいる都合の良さもあって、私がちょっと疲れたと言うと、すすんで家事や炊事、なんでもやってくれていた。
悪阻で偏食になっていたときも、私がご飯の炊けるときの臭いで吐くと、次からはご飯を外で炊いて、玄関で食べてくれたり、書き連ねたらきりがない。
安定期に入り、お腹が大きくなると、今度はより具体的に、お腹の子のために動いてくれるようになった。
そのうちの一つが毎日、必ずお腹の中の琴子に向かって絵本を読んでくれることだった。
私はそのうち先に眠ってしまったりしていたんだけど、どうやら父親の声に反応していたらしく、夫はその反応を楽しみながら、毎晩必ず絵本を読んでいた。

夫が琴子に読んだ最後のお話しは、鯨のクーちゃんのお話し。
なんだかちょっとおかしな話だったから、「クーちゃん、おかしいよね」って、笑いながら眠り、翌日に陣痛が起こった。
クーちゃんの話が特別に面白かったわけではなかったのだけど、眠りにつくまでの間に
「またクーちゃんを読んでもらおうね」
と言ったのを覚えている。
勿論、今度は外に出てきた後にねって。

あの日の私達は、2005年の9月26日の今日も、きっと琴子に絵本を読んで寝かしつけていると想像していた。
「生まれてもさ、毎晩、絵本を読んであげてよ」
って言えば、
「おう!」
と、楽しみでお腹が一杯になったかのように、嬉しそうに、満足して返事をしていた夫。
その全てが奪われちゃったんだ。

琴子を家に連れて帰ってきて、二人で琴子を抱きながら、お互いの写真を撮った。
辛かったけど、今しておかないともう出来なくなるって、きちんとわかっていたから、何枚も撮った。
そのときに琴子に着せていたのが、琴子が生まれる前に夫が編んでおいた手編みのチョッキと靴下。
とっても可愛く出来ていた。
夫は編物が得意だから、真夏に生まれる琴子には必要ないよって私が言っていたのに、「いいんだよ、ちょっと寒い日に着せてやるんだから」って、昼食後、夕食後にはせっせと編んでいた。
それがまさか、娘を棺に入れるときに着せることになるなんて。
でも、編んでおいてくれて良かった。
私の言葉通りにしていたら、凄く後悔することになっていたし、何よりも琴子には凄く似合っていた。

自分が編んであげたチョッキを着た琴子の前で、夫は号泣した。
泣き伏せて、何度も何度も…可愛くて抱き締めていたいけど、ドライアイスで包んでおいてあげないと、琴子がどんどん腐ってしまうんだよ…ねぇ、わかる?
自分の子供が腐ってしまうんだよ…それでも抱き締めていたいよ、自分も一緒に朽ち果ててしまっても構わないから抱き締めていたかったよ…たまに琴子を抱き締めると、ちょっとずつ臭いが変わってきていたから、結局抱き締め続けていたのと変わらなかったかな。
「チョッキ、似合うね、可愛いね」
って言うと、夫は嬉しそうに笑っていた。
そして、また泣くしかなかった。

今でもときどき、夫が最後に読んであげていたクーちゃんのことを思い出す。
クーちゃんとは一晩きりのお付き合いだったのに、
「クーちゃんはどうしているかな」
なんて、その絵本は借りていたものだから、手元に何も残っていないのに。
クーちゃんは琴子でもあるのかもね。
琴子が大好きなお父さん、そのお父さんが読んでくれた最後のお話がクーちゃんだったからね、きっと琴子がもう一度読んで欲しいっておもっているのかもしれないね。
でもね、琴子、まだ無理だよ。
お父さんはまだ読めないよ。
リンズに時々絵本を読んでいるのを知っているよね?
きっと一緒に聞いているよね?
琴子は気が付いているかな?
お父さん、絵本を読んでいると、必ず一度は泣きそうになっているでしょ?
涙を堪えながら読んでいるでしょ?
だからね、クーちゃんのお話は余計に無理だよ。

琴子が生まれ変わるおうちがわかれば、クーちゃんの絵本を届けるんだけどな…


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Re:幸せを失った夫の涙(09/26)

本当に、本当に、楽しみだったんだよね。

琴母さんも、パパも。

琴子ちゃんも大好きだったんだね。

パパの声やママの温かさが。



ごめんね。

琴母さんとパパと琴子ちゃんの気持ち考えたら、涙止まんないよ。

・・・・

琴ちゃん、

お腹の中でいっぱい幸せを感じていたんだね。

パパにもママにも愛されていたんだね。



手編みのチョッキ。

私も編んでいました。

寒い2月だったから、

それをもたせてやることが出来ました。

初めまして・・・。

私はここでこの日記を読むまでは、助産院推奨派でした。総合病院を否定する訳ではありませんが、助産院で産む方が絶対に良い!!と疑ってませんでした。私は3男を個人産院で産みましたが、ここは助産院と同じ方法で産みます。でも、助産院と違う所が1つ。医師がいる事です。なので安心して産めました。前回のお産が帝王切開の方もお断りしていました。リスクのある逆子も転院と言う形にしていました。それが普通のようです。なので、医師もいない助産院で逆子の方がラクとかありえないですよね。私も妊娠18週で子供を亡くしました。

切迫流産で入院中、陣痛が来てしまい医師に何度も訴えたのに『陣痛なんてありえない。18週なのに』と笑われたんです。で、その日の夜に破水。出産になってしまいました。もちろん、お腹の中で亡くなってしまいました。医師を恨み、自殺を考え、主人とも離婚。苦しかった。子供を亡くした苦しみは同じ痛みを受けた人にしかわかりません。再婚して子供が出来ましたが、その子は亡くなった子と同じ出産予定日でした。生まれ変わってきてくれました。(^^)頑張ってくださいね!

ありがとう

旦那さんと琴母さんが、どんなに琴子ちゃんの誕生を待ちわびていたか。どんなに愛していたかを改めて感じます。



毎日息子に振り回されていると、時々大事なことを忘れてしまう時があります。

こうしてお話を拝見していると、「いちばんだいじなこと」を思い返させられます。

横に寄り添って絵本を読んでやれることがどれだけありがたいことか。



琴子ちゃんは、私達にそういうことも教えてくれていますよ。ありがとう。

涙が止まりませんでした

読んでいて涙が止まりませんでした。



うちも毎晩読み聞かせしていました。

琴ちゃん、お腹の中でいっぱいお父さんの声聴いていたんだね。

今でもきっと琴ちゃんは自分がどれだけ愛され楽しみにされていたか覚えてるよ。

Re:幸せを失った夫の涙(09/26)

みんな楽しみにしていたのにね。

琴子ちゃんはほんっとにあっつい愛情を受けていたんですね。でっかくてあったかいプレゼントだ。





Hめ~許せん!(#゚Д゚)

私も悔しい…悔しいですよ。

私の場合も

お腹の中で第一子であった子供を亡くしています。やはり戸籍にすら載らなかった・・・今から19年前の事です。術後その人工死産の処置が悪くて不妊にもなりました。不妊治療開始してまもなく出来たのが今の高校生のおね~ちゃんです。やはり骨になった娘は以前の婚家の菩提寺に安置されております。



19年前・・・それでもいつまでもその亡くなった子は私の中で「生きている」のでした。忘れることなんて出来ない・・・出来るわけない・・・お腹で慈しんだ数ヶ月・・・それも忘れろということになる。それは出来ない・・・そうやって19年過ごして来ております。



時は過ぎて・・・癒してはくれるけど・・・形は無いんです。亡くなった娘の・・・時が経つ毎に思いは想いに変わっていくけれど・・・



私の元夫も亡くなって火葬して身の置き所が無くて荒れました。それだけじゃなく色んなことがあって離婚をしてしまいましたが・・・



忘れるなんて出来ないし・・・私は忘れません・・・



余り云わない私の過去です・・・それだけ時間は経っても想い出には出来ないものなんです・・・



琴子ちゃん・・・天使にはなってしまったけど・・・琴母さん家族の傍にきっと居るよ^^ 忘れなくていいのよ・・・無理をしないで泣きたいだけ泣いて・・・立ち止まったら又歩き出す・・・それでいいと思います。私はそうしました。大切なものを失った悲しみは当事者でなければ分からないと思います。



でもね・・・琴母さんの痛みを共有してくれて琴ちゃんの「存在意義」を見出してくれる人たちが居ます。



琴母さんもこのような繋がりで少しでも無理をせずに・・・踏み出す一歩の足ががりとなれますように・・・辛かった事があったら吐き出してしまえばいい・・・それを責める人は誰もいないと思う・・・痛みを分かってくれる人は必ず居るから・・・



言葉がでない

ごめんなさい。タイトル通りです。

琴子ちゃんを思う両親の心が伝わってきて…



同時に、お互いを支えあう夫婦の姿が伝わってきました。信頼しあえる人同士が力を合わせることで、その力は10倍にも100倍にもなるそうです。ましてやご夫婦であれば、言わずもがな。

これからもご家族みんなで力を合わせていって下さい。





手編みのチョッキ、いいですね。琴子ちゃんも寒い思いをせずに、天国で自慢していますよ。

Re:幸せを失った夫の涙(09/26)

読みながら、いっぱい泣いてしまいました。

一気に全部読みました・・・。

私は、一人目は総合病院で帝王切開でした。

今、二人目を妊娠していて9ヶ月です。



総合病院なので、二人目の出産をどうするかは、

私次第と言われています。

でも、やっぱり安全に生むことが一番大切なんですね。



帝王切開は手術の後の経過がやはり、経膣分娩の方に比べて大変なので、かなり迷っていました。

でも、そうだよね。子供を無事出産して、自分も元気でいることが大切なんですよね。



良く考えます。ありがとうございました。

父親の気持ちがわかりました

私は自分が希望していた出産と異なった出産でした。

そのことについては、自分の気持ちの整理がついて・時間のあるときに、また書かせてください。



話は戻りますが、出産後私はとてもショックで、病院に通う以外は外に出れませんでした。

私自身に余裕が無かったせいもあって、琴子の母さんのように、御主人を思う気持ちに欠けていました。

自分だけが不幸なんだと、旦那を責め、自分の殻に閉じこもり、旦那との離婚も考えました。

出産後のショックな時期でも、御主人のことを想える琴子の母さんはすばらしい方だと思います。

そしてこちらの記事を読んで、もっと旦那のことを思える人になろうと思えました。

Re[1]:幸せを失った夫の涙(09/26)

ゆうはmamaさん

ありがとう。

ゆうはmamaさんの気持ち、嬉しいです。

琴子はパパの声が大好きで、今でもあの娘の胎動を思い出します。

Re:・・・・(09/26)

つーじいさん

つーじいさんも夢人君に編んでいたんですね。

たまらないですよね、愛しさがパンパンに詰まった手編みのプレゼント。

夢人君も琴子も、今でも着てくれていますよね。

抱き締めたいなぁ。

Re:初めまして・・・。(09/26)

ひろっちん6225さん

ひろっちんさんも天使ママさんなんですね。

琴子共々、宜しくお願いします。



助産院でも危険なお産は扱わないと言っているところは多くあります。

ただ、中にはそう言いながらも、どうしても頼まれたからと言うことで受けてしまうところもあるようです。

無理を通そうとするのは妊産婦側にも責任があることですが、『危険なお産』と言うだけでなく、『子供も母親も死ぬ可能性がある』とはっきり言って欲しいです。

Re:ありがとう(09/26)

まいっちんぐ1025さん

琴子、とっても喜んでいます。

褒められて、ちょっと照れているかな?

琴子が誰かの幸せのためにちょっとでもお役に立てるなんて、親として最高の喜びです。



まいっちんぐさん、ありがとうございます。

Re:涙が止まりませんでした(09/26)

くまぴょんの妻さん

ありがとうございます。

父親の声で育ったようなものですから、琴子は父親の隣でいつも眠っているんだと感じています。

琴子の温もりを感じられるような気がします。



ありがとうございます。

Re[1]:幸せを失った夫の涙(09/26)

りおか557188さん

本当に楽しみにしていました。

Hが諦めてくれと最初に言った時、

「諦められません、助けてください」

と頼みました。

もっと何度も病院に行きたいといえばよかった。

悔やんでも悔やみきれません。

Hのことは許せません。

りおかさん、共にいてくれて有り難うございます。

Re:私の場合も(09/26)

トンママ8101さん

トンママさん!!!!!

今日はありがとうございました。

とっても嬉しかったです。

是非是非、また来てください!

チビーズちゃんたちにも会いたいです!



トンママさんの心の温もりに、今日はとっても救われました。

有り難うございます。

Re:言葉がでない(09/26)

るんさん

るんさん、ありがとうございます。

るんさんにはいつも励ましてもらっていて、感謝ばかりです。

琴子は素敵なお友達を私達にプレゼントしてくれました。

最高のプレゼントです。



るんさん、有り難うございます。

Re[1]:幸せを失った夫の涙(09/26)

るんたった3454さん

ありがとうございます。

帝王切開は産後が辛いということ、確かにそうだとおもいます(私も手術の経験があるので、予後は想像できます)。

でも、子供を失った後なんかよりは全然楽なのではないかとおもっています。

勝手な言い分で失礼…もし、痛み等を懸念してVBACを計画されるとしたら、それは私としては残念です。

子供を失った痛みは経験して欲しくないです。



お子さんの素晴らしい産声を祈っています。

ありがとうございます。

Re:父親の気持ちがわかりました(09/26)

ごんべさん

ごんべさんの気持ちを是非、また機会見てお聞かせください。



私はもっと情報が欲しかったです。

私なりに必死に探しました。

しかし、残念なことに、当時は限られた情報しか得られず、尚且つ肝心のH助産師が嘘を言っていたので、結果が琴子の死でした。



また是非お話を聞かせてください。
プロフィール

琴子の母

Author:琴子の母
助産院や自宅出産についての情報があまりにも偏っています。
助産師会の方から『産む側も勉強を』と言われました。
偏ったままの情報での勉強は、あらたな誤解を生み、悲しいお産を増やす可能性が高いとおもっています。
助産院や自宅出産が抱える問題、リスクを知って貰い、その上で分娩方法や場所の選択をしていくことを願っています。

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