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2005-11-25

中原中也―亡児への想い

私の母方の祖父は本が大好きで、書庫を持ち、かなりの量の書籍を書庫の中に収め、生前の口癖が
『俺が死んだ後に本を処分したら化けてでてやる』
でした。
孫の私達は祖父には大層可愛がられたけど、書庫に入ることだけは許されず、祖父が先立ち、祖父の口癖に忠誠を果した祖母が亡くなるまで、同居していた叔父までもが立ち入ることのなかった書庫。
数年前に祖父の13回忌を迎え、一区切りとして書庫が開放され、遺品として分配されることになった。
祖父の血の影響か、私も本が好きな方で、祖父の書庫に入るなり、その本の多さと趣味の良さには感動し、「あぁ、私は孫なのだ」と実感したのだ。
私が大好きな作家の本がずらりと並び、その殆どが初版の貴重本。
こんなにも素晴らしい書籍を今まで陰にしていて、祖父は間違った遺言を言ったものだと家族と話したりもしていた。

私は中原中也の詩を知らない。
タイトルだけを知っていて、それ以上の興味を持ったことはなかった。
祖父は中也も好きだったようで、私は興味はないけど、中也に関する本は全部頂くことにした。
そして頂いてからも、ただタイトルを眺めるだけで、読むことは一切なかった。
旦那は何処で知ったのだろうか、旦那自身も中也の話をしたことなどなかったのに、琴子が死んでから数日後、私の本棚の祖父の遺品コーナーを漁り始め、中也の本を手にして自分の仕事の部屋に篭ってしまった。
どうしたのかと聞くと、中也も子供を亡くしているので、中也の本を読みたくなったのだと言う。

旦那に習って、私も中也の本を読んだ。
中也の母親が書いた『私の上に降る雪は』には亡児・文也(享年2歳)とのことが触れられていて、中也の母親の言葉はあっさりとしているのだが、当時の中也の心がよく伝えられていた。

中也は愛息をなかなか棺にいれようとはせず、周囲の人も気の済むまでとおもって見守っていたのだが、いつまでも離さないので実母が説得して諦めさせ、愛息の遺体を棺に入れたという経緯、葬儀を出した日からは毎日仏様の前に座り、しきりに拝んでいて、四十九日の間は毎日お坊さんに来てもらい、お経を読んでもらっていた。
そして毎日、お坊さんと長時間話しこみ、お坊さんから頂いた般若心経のお経本のなかに聞いた話を書き込んでいたそうだ。
そして、長男である愛児の文也が亡くなったとき、奥さんは第二子を妊娠中、臨月を迎えていて、長男が亡児となった翌月に次男を出産している。
しかし中也は長男の死がきっかけとなり、神経衰弱、そして死へと向かう。
中也が亡くなったのが確か長男の死後2年後のことで、中也の死後、更にその年の内に次男・愛雅も亡くなっている。
ここでは中也を中心とした話なのだが、中也の妻の気持ちは想像を絶するものだったろうし、息子を語る実母の心もまた、同じだったのだろう。

ここに中也の亡児への想いを感じる詩を紹介したいのですが、著作権の問題等を考慮して…
『また来ん春…』 /中原中也

祖父がこの中也の話を読んだ時、どんな想いを抱いたのだろう。
祖父には亡児はないと聞く。
祖父はまさか孫の私が亡児を想う日々を送るとは、幼い頃の私しか知らない祖父は想いも寄らないことだっただろう。
当事者の私がそうなのだから、祖父は天国で驚いていただろう。
祖父の遺品が旦那や私の心を慰めてくれた。
悲しいことだけど、おじいちゃん、ありがとう。


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Re:中原中也―亡児への想い(11/25)

自分のことで恐縮ですが…

前にも書かせてもらったと思いますが、うちの旦那は息子を死産後、人嫌いに拍車がかかりました。当時は人と接する仕事だったため、余計に辛いことがあったのでしょう。また、昨年からの体調の変化も、もしかしたら死産や流産が遠因だったかもしれないと、実はずっと考えています。(今は元気です)

男は強くなければならない、嘆く妻を守らなければならないと、勝手に思い込むらしいです。そのために感情をためこみ、やがて爆発することもあると、カウンセラーの方から聞いたことがあります。

ですが、「強くなければ」なんて、男側の幻想で、本当は一緒に泣いてくれる方がいいのに。それが正しいと信じているために、こちらからは言えない。もっと我慢せずに、堂々と悲しんでくれてもいいんだけど…



私は中也はよく知りません。想像するだけですが、臨月の妻に心配をかけないよう、自分だけが悲しみを引き受けようとしてしまったのでしょうか。



ところでポール・ギャリコって作家ご存知ですか?

この方もお子さんを亡くされているそうで、愛児にむけた『雪のひとひら』という作品を書かれてます。琴子の母さんなら読んだことがあるかもしれないですね。私は買っただけで、まだ読んでませんが…男性作家が天使にむけて作品を残すというのは、存外多いですね。悲しみを昇華させるといえば聞こえはいいけど、ご本人たちはそんなつもりはなく、ただただ悲しいだけなのだろうと、想像しています。

うわ~

おじい様の書庫のお話

うちのパパはきっと目を輝かせて聞くと思います。

パパの書斎にはきちゃない本が数千冊整然と並んでます(^_^;)

横レスですがるんさん

『雪のひとひら』実はパパからプレゼントされて読んだ事あります。この名前が出てきてちょっとビックリ!

Re[1]:中原中也―亡児への想い(11/25)

るんさん

確かに、男性への抑圧というか、社会の厳しい目や、求める姿勢がきついですよね。

るんさんのご主人も、全く無関係とはおもえません。

また、堂々と悲しめるような教育はされていないし、そういう文化とでもいえばいいのかな、男性には難しいのでしょうね。

うちは自営業なので家にずっといるため、社会の目から遮断されていたから泣けました、でも会社に勤めている立場だったら、同じ旦那でも違っていたとおもいます。



>ところでポール・ギャリコって作家ご存知ですか?

残念、存知ませんでした。

私、洋書って苦手なんです。

翻訳があまり上手くないことが多いのか、ある程度は読んでも、日本の作家さんたちへの入り込みは得られませんでした。

でも読んでみるかな。

『雪のひとひら』…素敵なタイトルですね。

Re:うわ~(11/25)

ひまわりぽやさん

>おじい様の書庫のお話

>うちのパパはきっと目を輝かせて聞くと思います。

>パパの書斎にはきちゃない本が数千冊整然と並んでます(^_^;)

おぉ、そちらの本棚にも目がくらくらしそうだな。

本が山済みって、私にとっては最高の遊び場です。



>横レスですがるんさん

>『雪のひとひら』実はパパからプレゼントされて読んだ事あります。この名前が出てきてちょっとビックリ!

これまた素敵なご縁ですね。

無題

ひまわりぽやさんへ

読んだことがあるんですか。私は積読タイプなので、未だに読んでないんですよ~。ちょうどいい季節だし、読んでみます。



琴子の母さんへ

>堂々と悲しめるような教育はされていないし

これは本当にその通りだと思う。むしろ悲しみは隠すのが美徳、とされているくらいだし。

講演を聞かせてもらったカウンセラーの方は、元々アメリカで遺族専門のカウンセリングをされていたそうです(グリーフ・ケア)。アメリカではそういったシステムが発達していて、たとえば死産や流産があった場合に、ママやパパだけでなく、祖父母や兄弟になるはずだったお子さんにも、個別でカウンセリングをするのだそうです(微妙に違うんだって)。何でもかんでもアメリカの真似はどうかと思うけど、こういった良い面は、早く取り入れて欲しいですよね。

Re:無題(11/25)

るんさん

>何でもかんでもアメリカの真似はどうかと思うけど、こういった良い面は、早く取り入れて欲しいですよね。

全くですね。

流血で解決主義っていうのはいただけないけど、こういう面は取り入れて欲しいですね。

Re:中原中也―亡児への想い(11/25)

10代で出会った中原中也。



中也の文字を見ただけで本を買っていた20代。



中也記念館に何度も足を運んだ30代。



中也の年令をこえても読める中也の詩たち。



今日、中也特集をしました。



ヨロシク!

Re:中原中也―亡児への想い(11/25)

今日。

また、中也の「春宵感懐」という詩を

載せています。

見に来てください。
プロフィール

琴子の母

Author:琴子の母
助産院や自宅出産についての情報があまりにも偏っています。
助産師会の方から『産む側も勉強を』と言われました。
偏ったままの情報での勉強は、あらたな誤解を生み、悲しいお産を増やす可能性が高いとおもっています。
助産院や自宅出産が抱える問題、リスクを知って貰い、その上で分娩方法や場所の選択をしていくことを願っています。

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